セルフ・カウンセリング
自分の心に出会えるメルマガ


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セルフ・カウンセリング
♪ 自分の心に出会えるメルマガ ♪
( ”イライラ””モヤモヤ”が解消できる!)
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第 36 号 2008年 9月 1日
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みなさん、こんにちは。

「セルフ・カウンセリング ♪自分の心に出会えるメルマガ♪」をお読みいただきありがとうございます。

みなさんは、セルフ・カウンセリングという言葉を耳にしたことがおありですか?
これは、渡辺康麿氏が創案した、書いて読む、一人で出来る自己発見法です。

私たちは、このセルフ・カウンセリングを学んでいるグル-プですが、みなさんにも、ぜひ、この方法をお伝えしたいと思い、 同氏の著書を連載することにいたしました。

楽しくお読みいただけたら幸いです。

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連載になっております。興味のある方は、バックナンバーからお読みいただくとわかりやすいと思います。
   1〜22号   「自分の心に出会える本」より
   23号〜    「自己形成学の創造」より
   32号〜 新連載「セルフ・カウンセリングの方法」より

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人は、生まれてから今に至るまでの人生の中で、いろいろな経験をします。
そして、その経験を通して、「こうしなければならない」とか「こうあらねばならない」とかいうその人なりのモノサシを形作っていきます。

自分の生い立ちを振り返ることによって、無意識に取り込んできたそのようなモノサシに気づき、 そのとらわれから自由になっていく方法を自己形成史分析といいます。

セルフ・カウンセリングという方法は、このような、自己形成史分析という自己探求の方法が基礎になっています。

☆★☆セルフ・カウンセリングとは?☆★☆

セルフ・カウンセリングでは、自分が経験した日常生活のある時の場面を書きます。
家庭や学校、職場での場面など、どのような場面でもかまいません。
テレビを見た時、本を読んだ時、一人で考えている時など、相手がいない場面も大切な題材になります。
もちろん文章の上手・下手はまったく問題ありません。
専門知識も必要ありません。
自分が見たこと、聞いたこと、思ったこと、言ったこと、したことを、時間の順にそのまま書くと、リポートになります。
まず、自分が何を悩んでいるのかわかります。
その悩みの奥に、どのような願いがあるのかわかります。
そして、相手の気持ちがわかります。
そうすると、自分と相手の気持ちを尊重しつつ、心を通わせてゆくための知恵が生まれます。
人間関係のすべてに共通する心のからくりを、自分の経験を通して学ぶことができます。

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第32号より、セルフ・カウンセリングのプログラムに取り組み、 新たな自己発見をした方々の、体験談を紹介していきます。

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「セルフ・カウンセリングの方法」 渡辺康麿著 より抜粋
(vol . 5 )

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苦手な人とうまくつきあう
ー セルフ・カウンセリング ケーススタディ 3 ー
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タイトル「まったく挨拶もできないのか」 [男性・35歳]

        (ケーススタディ3ー前半)

【研究動機】

課長という役職について一年が経とうとしています。
役職についた初めのころは、とにかく自分の責任を果たすのに精一杯でした。
それが最近、やっと少し余裕ができてきました。
しかし、このごろ部下の私に対する態度が気になりはじめました。
正直言って、一方的に傷つけられて、嫌な思いが残ることがよくあるのです。
上司と部下との関係がまずくては、仕事の能率も落ちてしまいます。
そこで、セルフ・カウンセリングの方法で部下との関わりを書いてみました。

【場面説明】

朝一番の会議を終えて、部屋に戻ったときのことです。
このとき部屋では、松田さん、坂田さん、飯島くん、中島さんの四人が仕事をしていました。
四人とも二十歳台の部下です(松田さんが一番この課での経歴が長い)。

【場面記述】

私は部屋に入り「おはよう」と言った。

飯島くんは「おはようございます」と言った。

私は〈飯島は今日は元気がいいなあ。張り切った声を出している〉と思った。

中島さんは「おはようございます」と言った。

坂田さんは「おはようございます」と言った。

私は、〈三人はいつも挨拶するのに、松田さんはオレの顔も見ようとしない。
今日は挨拶をするかな〉と思った。

松田さんは坂田さんのほうを見て「でさぁ、あの子ったらさー」などと話しかけていた。

私は〈やっぱり、また松田さんだけ挨拶をしないな。
オレを無視して! いつもこうなんだからな。
まったくなんて礼儀知らずな子なんだろう〉と思った。

松田さんは坂田さんと話していた。

私は〈まだ話しつづけている!
もう仕事中なのに、いつまでしゃべっているんだ。
テレビとか食べ物のこととか他人の噂とか、そういう私的な話は勤務が終わってから好きなだけすればいいだろ。
もう、おしゃべりはやめさせよう〉と思った。

私は「松田さん、ちょっと。例の報告書はどうなっているんだ?」と言った。

松田さんは「ああ、すぐしまーす」と言った。

私は〈なんだ。
あのしまーすは。
ふざけている場合じゃないだろう〉と思いながら、自分の席についた。

松田さんは書類を繰りながら、坂田さんと話をしていた。

私は〈まだしゃべりつづけている。
まったく、仕事をしながらしゃべるならまだしも、手が動いてないじゃないか。
仕事をする格好だけして、ちっとも真面目にやらないんだから。
時間がもったいないったらないよ。
いっちょまえに給料を貰っているっていうのに>と思った。

私は仕事を始めた。

松田さんは書類をもって、私のデスクのところにやって来た。

松田さんは「ここは、これでいいんですか?」と言いながら書類を私のほうに差し出した。

私は書類を見た。

私は〈やっと報告書ができたのか。
なんだよ、この書式は!? ぜんぜん違うじゃないか!
この前ちゃんと説明したのに何聞いているんだ!。
まったくどうしようもない〉と思った。

私は報告書を鉛筆で訂正した。

私は報告書と松田さんの顔を交互に見ながら、「いや、違うよ。
この前ちゃんと説明しただろう?
ここはこうしないとダメなんだよ」と言い、報告書を松田さんに突き返した。

松田さんはうつむいたまま報告書を受けとった。

松田さんは報告書を見ていた。

私は〈なんでこんな簡単なことがわからないんだ。
こんなことでいちいち聞きに来ないでくれ。
自分でちょっと考えればわかることじゃないか〉と思った。

松田さんはやや顔を上げて「でもぉ課長。
この間はこうしてもいいと言いませんでしたぁ?」と言った。

私は〈また何を言い出すんだこの子は?
そうか、この前のケースのことを言っているんだな。
あの場合は特別なケースだから、いつもと違う処理を教えたっけ。
勝手に応用しないでほしいな。
まったくこの子は頭がカタイ〉と思った。

私は「えっ、それはそういう意味で言ったんじゃないよ。
この前の場合とはケースが違うだろ。
ほら、こうしないとおかしなことになるでしょ」と言いながら、松田さんの手元の報告書の鉛筆の線を指でたどって見せた。

私は〈これくらいわかれよ〉と思いながら松田さんの顔を見た。

松田さんは、私の指の動きと報告書とを見ていた。

私は〈ミスの責任をオレに転嫁されちゃあ、たまらない。
まったくものわかりが悪い子だな。
頭を使え頭を!頭を使えばすぐわかることじゃないか!〉と思った。

松田さんは「ハァ〜イ。わかりましたぁ」と言った。

松田さんは頭を横にふりふり、自分のデスクに戻った。

私は〈まだ本当に理解していない返事の仕方だな。
何か不満そうな言い方だ。
仕事っていうのは言われたとおりにすればいいってもんじゃない。
自分で考えて、理解して、納得してやるものだ!
まったく!〉と思った。

松田さんは「あらー?
私、電卓、どこへ置いたかしら」と言った。

松田さんはデスクの書類を動かしたり、あちこち見回して歩いた。

私は〈電卓を探し回っているな。
さっき隣の部屋にもって入ったじゃないか。
教えてやろうかな。
いや、自分で探し出させたほうがいい。
一事が万事この調子なんだから。
少しは苦労させたほうがいい。
甘やかすとクセになる〉と思った。

【記述による発見】

記述を読み返してまず気づいたことは、私の意識が松田さん一人に集中しているということでした。
挨拶のこともそうです。
他にも挨拶をしない人はいます。
にもかかわらず、松田さんに対してだけ『挨拶をしない』と気にしています。

私は松田さんに対して、『自分は直属の上司なのだから、敬意を表してほしい』という欲求があることに気づきました。
〈また松田さんだけ挨拶をしないな。
・・・・・・まったくなんて礼儀知らずな子なんだろう〉という心のセリフから、
常日頃から松田さんを『挨拶もしない礼儀知らずな子』と思い込んでいる自分に気づきました。

このことに気づいたとき、一つ思い出したことがあります。
それは、この場面の最初で「おはよう」と言ったとき、私は飯島くんの顔を見ていたということです。
私の視線の先に松田さんはいませんでした。
初めから私は松田さんに対して、〈どうせ挨拶しない〉と決めつけていたのです。
松田さんに「おはよう」と言えば不愉快な思いをするだろう、 という予想があって松田さんのことを避けていたことに気づきました。

また記述の全体から、私が“挨拶をすること(礼儀)”“真面目に仕事をして能率を上げること” “上司の話をよく聞いて理解すること”“自分で考えること”などを重視しているということがよくわかりました。
そして松田さんに対して、そのようにしてほしいと期待していたことに気づきました。
記述をする前は、相手の態度が私を傷つけているのだと素朴に信じていました。
しかし記述をしたことで、相手の態度が原因なのではなく、私の中の欲求、 相手に対する期待感などによって傷ついていたのだということがわかりました。
つまり私は、自分本位な固定観念によって、一人で勝手に傷ついていたのです。

【洞察による発見】

☆★“自分の責任”にこだわっていた★☆

以下、次号(ケーススタディ3ー後半)に つづく・・・

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