※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※                                            セルフ・カウンセリング          ♪ 自分の心に出会えるメルマガ ♪             ( ”イライラ””モヤモヤ”が解消できる!) ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※                     第 382 号  2023 年 2月   1日 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※    新型コロナウィルス感染症の影響で苦しみのうちにあるすべての皆さまへ    心よりお見舞い申し上げます。    またその方々のために献身的に働いておられる医療関係者の皆さまへ    そして社会のライフラインを維持するために働かれている皆さまへ    感謝申し上げますとともに一日も早く元の平穏な日々に戻りますことを    心よりお祈りいたします。     **************************************    みなさん、こんにちは。    「 セルフ・カウンセリング ♪自分の心に出会えるメルマガ♪ 」    をお読みいただきありがとうございます。    みなさんは、セルフ・カウンセリングという言葉を    耳にしたことがおありですか?    これは、渡辺康麿氏が創案した、    書いて読む、一人で出来る自己発見法です。    私たちは、このセルフ・カウンセリングを学んでいるグル-プですが、    みなさんにも、ぜひ、この方法をお伝えしたいと思い、    同氏の著書を連載することにいたしました。    楽しくお読みいただけたら幸いです。   〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜    連載になっております。興味のある方は、    バックナンバーからお読みいただくとわかりやすいと思います。       1号〜    「自分の心に出会える本」     23号〜    「自己形成学の創造」     32号〜    「セルフ・カウンセリングの方法」     62号〜    「自分って何だろう‐現代日本人の自己形成‐」    136号〜    「大人の自己発見・子どもの再発見」 176号〜    「自分を見つける心理分析」 286号〜    「避けられない苦手な人とつきあう方法」    334号〜    「わかっていてもイライラするお母さんへ」    356号〜    「小学生にわかっていてもイライラするお母さんへ」    376号〜 新連載「反抗期とわかっていてもイライラするお母さんへ」  バックナンバーはこちら→ https://secure02.red.shared-server.net/www.self-c.net/mg/index.html   〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜* ************************************** **************************************    人は、生まれてから今に至るまでの人生の中で、    いろいろな経験をします。        そして、その経験を通して、    「こうしなければならない」とか「こうあらねばならない」とかいう    その人なりのモノサシを形作っていきます。    自分の生い立ちを振り返ることによって、    無意識に取り込んできたそのようなモノサシに気づき、    そのとらわれから自由になっていく方法を    自己形成史分析といいます。    セルフ・カウンセリングという方法は、    このような、自己形成史分析という    自己探究の方法が基礎になっています。        ☆★☆ セルフ・カウンセリングとは? ☆★☆    セルフ・カウンセリングでは、    自分が経験した日常生活のある時の場面を書きます。        家庭や学校、職場での場面など、どのような場面でもかまいません。        テレビを見た時、本を読んだ時、一人で考えている時など、    相手がいない場面も大切な題材になります。    もちろん文章の上手・下手はまったく問題ありません。    専門知識も必要ありません。        自分が見たこと、聞いたこと、思ったこと、言ったこと、したことを、    時間の順にそのまま書くと、リポートになります。    まず、自分が何を悩んでいるのかわかります。    その悩みの奥に、どのような願いがあるのかわかります。        そして、相手の気持ちがわかります。        そうすると、自分と相手の気持ちを尊重しつつ、    心を通わせてゆくための知恵が生まれます。        人間関係のすべてに共通する心のからくりを、    自分の経験を通して学ぶことができます。 ************************************** **************************************              「反抗期とわかっていてもイライラするお母さんへ」       中・高校生の心が見えてくるセルフ・カウンセリング                                  渡辺康麿著  より抜粋                         ( vol . 7 ) ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++          ─ お母さんたちのセルフ・カウンセリング体験記 ─             ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++          1 何でも話し合える            親子だったのに!           子どもに自分の欲求を 押しつけていたことに気づいて    井上真希子 娘は自分の思いを出せるようになったんだ!              ( 体験記 1 ー 後半 )      前号からの続きですので、バックナンバー381号から      お読みいただくとわかりやすくなっています。   ■二番目に取り上げた場面  【ママのやること最低!】  【場面説明】  娘に分厚い手紙が来ました。  差し出し人は男の人です。  私の知らない名前です。  私は、この人がどういう人なのか娘に聞いてみようと、娘の帰りを待っていました。  玄関のドアの開く音がした。  私は<あっ、真理が帰って来た。早く、この手紙のことを聞きたい>と思った。  娘は「ただいま」と言いながら食堂に入って来た。  私は「○○さんって誰?」と言った。  娘は「エッ?」と言った。  私は<ずいぶんあわてているわ。何か後ろめたいことでもあるのかしら>と思った。  娘は私の手元の手紙を見た。  娘は「私に来た手紙ね。ママ読んだの?」と言った。  娘は私をキッとにらんだ。  私は「読むわけないでしょ。○○さんて聞いたことなかったから誰かと思って」と言った。  娘は「誰だっていいでしょ。ママに関係ないんだから。早く返して!」と言った。  私は<“関係ない”ですって!?私は、ボーイフレンドを作るな、と言ったことなんかないわ。     いつでも、何でも相談に乗るって言っているじゃない。何で、そんなに隠そうとするの?>と思った。  私は「どんな人かくらい教えてくれたっていいんじゃない。心配だからちょっと聞いているんでしょ。     それとも何かママに言えないことでもあるの?」と言った。  娘は「心配なんかしてくれなくても結構です。もう私のことは放っておいてよ。     それから、これからは、私のものには絶対さわらないで」と言った。  私は<どうしたって言うの。いつもの真理じゃないみたい。すごく興奮して、怒っている。     頭がどうかしてしまったんじゃないかしら>と思った。  私は「真理、何言ってんの?そんな言い方ないじゃないの。少し落ち着きなさい」と言った。  娘は「ママのやること最低!     口出しばっかりで、私のことわかろうとしてくれたこと一度もない。     もういいから。もう私のことはいいから!」と言った。  私は<えーっ?“口出しばかりで、私のことわかろうとしてくれたこと一度もない”ですって?     そんなことないでしょ?私は誰よりも真理のことをわかってあげていたじゃない。     だから、真理だって、何でも私に話してくれていたんでしょ。     そうじゃなかったの?本当の気持ちを隠して、私に合わせていただけなの?そんなことないわよね。     私たちは、誰よりもわかり合っている、気が合う親子だったじゃない。真理が私を裏切るわけないわ。     そうよ。今は興奮して売り言葉に買い言葉で、思ってもいないことを言ったのよ。     気持ちが落ち着けば、きっといつもの真理に戻ってくれるわ>と思った。  娘は私の手から手紙をひったくった。  娘は部屋を出て行った。  私は<今は何を言ってもしかたない。しばらく時間を置こう。     でも、何でこんなことになってしまったんだろう>と思った。  ☆★☆ 思いが書かれていない個所があった ☆★☆  私は、書き上がった記述を読み返してみました。  記述の中に、一個所だけ、自分の気持ちが書かれていない個所があることに気がつきました。  娘が帰って来るやいなや、私は娘に「○○さんて誰?」と聞いています。  その時の私の気持ちが、記述の中には書かれていなかったのです。  私は、あらためてこの時の状況を思い起こしてみました。  ドアを開けて顔をのぞかせた娘の表情が、やけに、のんびりして見えたのを思い出しました。  その時の思いを、あらためて言葉で書き表してみることにしました。  <何、のんきな顔しているの!そんな顔している場合じゃないわよ!   ○○さんて、いったい誰なの?早く教えて。何でもないわよね。ちょっとした知り合いよね。   笑って、『もう、ママは心配性なんだから』って言いながら、教えてくれるわよね。   『そんなに心配なら、手紙読む?』って言って、手紙の中身を見せてくれるわよね>  一気に、その時の思いが心のセリフの中に引き出されてきました。  ☆★☆ 自分の思いのこもった表現があった ☆★☆  記述を読み返していて、もう1個所、目にとまった個所がありました。  それは、“娘は私をキッとにらんだ”という個所でした。  “キッとにらんだ”という表現の中に、自分の思いがこもっているような感じがしたのです。  娘の様子を見て、“キッとにらんだみたいだな”と、私が感じたのではないかしら。  もし、そうなら、自分の欄に心のセリフとして書かなくては・・・。  私は、その時のことを、もう一度、よく思い起こしてみました。  この時、娘がどんな表情をしていたのか、その表情を見て、私がどんな気持ちになったのか。  その個所は、こう書き直されました。  “娘は、少し眉をひそめて、こちらを見た。  私は<キッとこちらをにらんだみたい。嫌な目つきだわ。     何だか、こちらの気持ちを見透かされているみたい>と思った。“というようにです。  ■書き直した場面記述  玄関のドアの開く音がした。  私は<あっ、真理が帰って来た。早く、この手紙のことを聞きたい>と思った。  娘は「ただいま」と言いながら食堂に入って来た。  私は<何、のんきな顔しているの!そんな顔している場合じゃないわよ!     ○○さんて、いったい誰なの?早く教えて。何でもないわよね。ちょっとした知り合いよね。     笑って、『もう、ママは心配性なんだから』って言いながら、教えてくれるわよね。    『そんなに心配なら、手紙読む?』って言って、手紙の中身を見せてくれるわよね>と思った。  私は「○○さんって誰?」と言った。  娘は「エッ?」と言った。  私は<ずいぶんあわてているわ。何か後ろめたいことでもあるのかしら>と思った。  娘は私の手元の手紙を見た。  娘は「私に来た手紙ね。ママ読んだの?」と言った。  娘は少し眉をひそめて、こちらを見た。  私は<キッとこちらをにらんだみたい。嫌な目つきだわ。     何だか、こちらの気持ちを見透かされているみたい>と思った。  私は「読むわけないでしょ。○○さんて聞いたことなかったから誰かと思って」と言った。  娘は「誰だっていいでしょ。ママには関係ないんだから。早く返して」と言った。  私は<“関係ない”ですって!?私は、ボーイフレンドを作るな、と言ったことなんかないわ。     いつでも、何でも相談に乗るって言っているじゃない。何で、そんなに隠そうとするの?>と思った。  私は「どんな人かくらい教えてくれたっていいんじゃない。心配だからちょっと聞いているんでしょ。     それとも何かママに言えないことでもあるの?」と言った。  娘は「心配なんかしてくれなくて結構です。もう私のことは放っておいてよ。     それから、これからは、私の物には絶対にさわらないで」と言った。  私は<どうしたって言うの。いつもの真理じゃないみたい。     すごく興奮して、怒っている。頭がどうかしてしまったんじゃないのかしら>と思った。  私は「真理、何言ってんの?そんな言い方ないじゃないの。少し落ち着きなさい」と言った。  娘は「ママのやること最低!口出しばっかりで、私のことわかろうとしてくれたこと一度もない。     もういいから。もう私のことはいいから!」と言った。  私は<えーっ?“口出しばかりで、私のことわかろうとしてくれたこと一度もない”ですって?     そんなことないでしょ?私は誰よりも真理のことをわかってあげていたじゃない。     だから、真理だって、何でも私に話してくれていたんでしょ。そうじゃなかったの?     本当の気持ちは、隠して、私に合わせていただけなの?     そんなことないわよね。私たちは、誰よりもわかり合っている、気が合う親子だったじゃない。     真理が私を裏切るわけないわ。     そうよ。今は興奮して、売り言葉に買い言葉で、思ってもいないことを言ったのよ。     気持ちが落ち着けば、きっといつもの真理に戻ってくれるわ>と思った。  娘は私の手から手紙をひったくった。  娘は部屋を出て行った。  私は<今は何を言ってもしかたない。しばらく時間を置こう。     でも、何でこんなことになってしまったんだろう>と思った。  ☆★☆ こちらから向かっていくしかない ☆★☆  記述を書き終えてみて、私ははっとしました。  心のセリフを加えることで、この記述のイメージががらりと変わってしまったような気がしたのです。  初めにこの記述を書いた時、私はこの記述を、  娘のことを心配する親心がよく表されている記述だなと感じていました。  けれども、書き直してみて、親である私の嫌らしさが、露骨に出ている記述だな、と感じました。  真理に来た手紙に取り乱し、感情的になっている私の姿が、よりリアルに現れているように感じたからです。  それは、できれば、気づきたくない私の姿でした。  再び、自分の中のそのような姿に直面して、  私は<結局、自分の中の、こんな思いから逃げることはできないんだ>と、  開き直るような心境になりました。  どうやっても、ここから逃れることができないのなら、こちらから向かっていくしかない。  あらためて、そんな気持ちになったのです。  ☆★☆ 真理が隠しごとをしたことがショックだった ☆★☆  私は、あらためてこの時の自分の気持ちを思い返し、自分に問いかけてみました。  <私は、この時、何がそんなにショックだったのだろう>と。  もちろん、娘のところに、男性の名前の手紙が来たなら、心配しない親はいないことでしょう。  でも、私の心の波立ちは、“心配”という範囲をはるかに超えるほど大きいものだったのです。  私は、書き直した記述をもう一度読んでみました。そして、この時のことを、繰り返し思い返してみました。  <笑って、『もう、ママは心配性なんだから』って言いながら、教えてくれるわよね。  『そんなに心配なら、手紙読む?』って言って、手紙の中身見せてくれるわよね>  という心のセリフを読んでいる時でした。  何か、引っかかるものを感じました。  この心のセリフから、  真理が、この男の子との交際を否定することを、私が期待していたということがわかります。  そのことが、私には意外だったのです。  私自身も、高校時代はボーイフレンドがいましたし、  真理にボーイフレンドができてもおかしくない、と思っていたからです。  けれども、この時、私には、真理にボーイフレンドがいることが許しがたいことのように感じられたのです。  あれこれ考えているうちに、こんな思いがあらわれてきました。  <ああ、私は、真理がこの男の子のことを私に一言もいっていなかった、ということがショックだったんだわ。   何でも話してくれている、と思っていた子が、私に隠しごとをしていた、ということがショックだったんだ。   それで、まるで裏切られたような気持ちになったんだ。   私は、自分が真理のすべてを知っている、ということで、これまで安心して来たのかも知れない>  ☆★☆ 私も欲求を押しつけていた ☆★☆  セルフ・カウンセリングの講座に参加しようと思ったきっかけは、  サブタイトルに書かれていた「押しつける対話、引き出す対話」という言葉でした。  私は、真理の気持ちを引き出したいと思って、この講座を受講したのでした。  第一回目の講座の時に、先生は、日常生活の中で、私たちは、  自分の欲求をさまざまな形で、相手に押しつけています、とお話して下さいました。  その時、私は、内心<私は違うわ。真理とは友達のように、何でも話せていたもの>と、  まるで、人ごとのように感じていました。  けれども、何度も記述を書き、読み返していくうちに、  私自身も、“知りたい”という欲求を真理に押しつけていたことに気がついたのです。  ☆★☆ 自分自身の気持ちをつきとめておきたい ☆★☆  そのことに気づいた時、硬い殻にひびが入って、そこから頭一つ抜け出せたような不思議な解放感を感じました。  これまでは、どこかで、早く娘とのかかわりを修復したいというあせりの気持ちがありました。  けれども、ここに来て、それ以前に、  自分自身の気持ちをもっとしっかりとつきとめておきたいという気持ちが起こって来たのです。  以前、先生は、書き終えた記述を繰り返し読み返してみましょう、というお話をされていました。  その際、自分の欄だけを読み返す自分読み、相手の欄だけを読み返す相手読みを試みてみるとよい、  とおっしゃっていました。  そのことを思い出し、私は、今回書き直した記述の、自分読みと相手読みをしてみることにしました。  ■自分読み  私は<あっ、真理が帰って来た。早く、この手紙のことを聞きたい>と思った。  私は<何、のんきな顔しているの!そんな顔している場合じゃないわよ!     ○○さんて、いったい誰なの?早く教えて。何でもないわよね。ちょっとした知り合いよね。     笑って、『もう、ママは心配性なんだから』って言いながら、教えてくれるわよね。    『そんなに心配なら、手紙読む?』って言って、手紙の中身を見せてくれるわよね>と思った。  私は「○○さんって誰?」と言っ  私は<ずいぶんあわてているわ。何か後ろめたいことでもあるのかしら>と思った。  私は<キッとこちらをにらんだみたい。嫌な目つきだわ。     何だか、こちらの気持ちを見透かされているみたい>と思った。  私は「読むわけないでしょ。○○さんて聞いたことなかったから誰かと思って」と言った。  私は<“関係ない”ですって!?私は、ボーイフレンドを作るな、と言ったことなんかないわ。     いつでも、何でも相談に乗るって言っているじゃない。何で、そんなに隠そうとするの?>と思った。  私は「どんな人かくらい教えてくれたっていいんじゃない。しんぱいだからちょっと聞いているんでしょ。     それとも何かママに言えないことでもあるの?」と言った。  私は<どうしたって言うの。いつもの真理じゃないみたい。     すごく興奮して、怒っている。頭がどうかしてしまったんじゃないのかしら>と思った。  私は「真理、何言ってんの?そんな言い方ないじゃないの。少し落ち着きなさい」と言った。  私は<えーっ?“口出しばかりで、私のことわかろうとしてくれたこと一度もない”ですって?     そんなことないでしょ?私は誰よりも真理のことをわかってあげていたじゃない。     だから、真理だって、何でも私に話してくれていたんでしょ。そうじゃなかったの?     本当の気持ちは、隠して、私に合わせていただけなの?     そんなことないわよね。私たちは、誰よりもわかり合っている、気が合う親子だったじゃない。     真理が私を裏切るわけないわ。そうよ。     今は興奮して、売り言葉に買い言葉で、思ってもいないことを言ったのよ。     気持ちが落ち着けば、きっといつもの真理に戻ってくれるわ>と思った。  私は<今は何を言ってもしかたない。しばらく時間を置こう。     でも、何でこんなことになってしまったんだろう>と思った。  ☆★☆ ああ、そうだったのか ☆★☆  私は、最初から最後まで、感情を高ぶらせています。  記述の心のセリフの中で、私は、真理に対して、  <頭がどうかしてしまったんじゃないのかしら>と思っています。  けれども、頭がどうかしてしまったように取り乱していたのは、私自身でした。  子どものすべてをからめとり、それで安心していた母親。  それが突然、子どもの反撃にあい、戸惑い、あわてふためいている。  そんな姿が、リアルに現れているように思いました。  <私は、真理のすべてを知っていたい、と、心から願っていたんだな>。  そんな思いがあらためて私のうちから起こってきました。  すると、ふいに、  <真理が何でも私に話してくれていたこと。反抗期が来ても、私を慕ってくれていたこと。   それが、私は内心得意だったのではないかしら。   そんな子どもに育てた、ということが、私の母親としても自信になっていたのではないかしら>  という思いまでもが、心の奥から出てきたのです。  なぜそんな思いが突然私のうちから出て来たのか、自分でも不思議なのですが、  まるで、水底の狭い岩の透き間から、小さな魚が飛び出すように、スルッと言う感じで、  そんな思いが私の中から抜け出してきたのです。  この思いが出て来た時、何かが、胸の奥でストンと落ち着くのを感じました。  <ああ、そうだったのか>と、心の底から思えました。  これまでの自分の落ち着かなさ、あせり、混乱が、すべて納得できるような気がしました。  私は母親としての自信を失いたくなかったのです。  自分自身のよりどころとなっていたものが、揺らぎ、それを必死になって守っていたのです。  見えて来た自分は、けっして自慢できるようなものではなかったのですが、  この時、なぜか、私はこれまで感じたことのないような深い安堵感を覚えました。  ■相手読み  玄関のドアの開く音がした。  娘は「ただいま」と言いながら食堂に入って来た。  娘は「エッ?」と言った。  娘は私の手元の手紙を見た。  娘は「私に来た手紙ね。ママ読んだの?」と言った。  娘は少し眉をひそめて、こちらを見た。  娘は「誰だっていいでしょ。ママには関係ないんだから。早く返して」と言った。  娘は「心配なんかしてくれなくて結構です。もう私のことは放っておいてよ。     それから、これからは、私の物には絶対にさわらないで」と言った。  娘は「ママのやること最低!口出しばっかりで、私のことわかろうとしてくれたこと一度もない。     もういいから。もう私のことはいいから!」と言った。  娘は私の手から手紙をひったくった。  娘は部屋を出て行った。    ☆★☆ 私に合わせてくれていたのではないか ☆★☆  この時の真理の様子を、私は、これまで、できるだけ思い出さないようにしていました。  それほど、この時の真理子の様子は、私にとってショックなものでした。  これまで見たことのないような緊張してこわばった表情、聞いたことのないようなきつい口調。  これが真理であるはずがない。思い返すたびに、胸が苦しくなりました。  ところが、ここまで探究を進めて来て、あらためて、娘の欄だけを読んでみて、  私は、自分がこれまで感じていた胸苦しさを感じていないことに、気づきました。  それどころか、私は、この時の真理に、かわいらしさすら感じられたのです。  きっと、この時、真理は、てれくさくて恥ずかしくて、いても立ってもいられなかったのではないでしょうか。  自分が好意を寄せている異性がいる、ということを親に知られた、というだけでも、  この年頃の子にとっては、充分に恥ずかしいことです。  それなのに、私は、追いうちをかけるように、その相手のことをあれこれと聞いてしまったのです。  いたたまれないような気持ちの中で、親に強く反発してしまう真理の気持ちが、手に取るようにわかりました。  真理が、何だか、とてもかわいく、また、いとしく感じられてきました。  ただ、この時私に向けられた言葉が、すべて、照れ隠しから出た言葉だったかと言うと、  けっしてそうではなかったように思います。  真理は、どちらかというと、人にあわせるタイプの子です。  私の“すべてを知っていたい”という欲求を、  子どもなりに察して、私にあわせてくれていたのではないでしょうか。  この時、真理の言った「口出しばっかりで、私のことわかろうとしてくれたこと一度もない」という言葉。  きっとこの言葉は、その場の勢いで、  つい口から出てしまった真理のホンネの思いを表した言葉だったのではないでしょうか。  この言葉を真理からぶつけられた時には、信じられない思いがしました。  けれども、今では、<本当にそうだったのかもしれない>と素直に思えます。  ☆★☆ 真理との新しいかかわりを探っていきたい ☆★☆  私に合わせて、自分の本音をぶつけられなかった真理が、  このことをきっかけに、自分の思いをストレートにぶつけてこられるようになった。  もし、そうだとすれば、今のなかなか会話が成り立たない状態、というのは、  真理にとっては、けっして悪い状態ではないのではないでしょうか。  真理の立場にたって考えてみれば、  これまでは、自分の気持ちを抑えて親にあわせることしかできなかったのが、  ようやく自分の気持ちを親に向かってアピールできるようになったのです。  どこかでほっとしているかも知れません。  また、私もそんな真理の成長を喜びこそすれ、悲しむことなどないのではないでしょうか。  とはいえ、やはり、真理との会話が全くないというのは、少しさびしい気がします。  このさびしい、という気持ちを、機会があったら真理に伝えて見ようかな、と思います。  これまでは、“裏切られた”と言う思いが先だって、“さびしい”とは、素直に言えませんでした。  自分の気持ちに少し素直になって、  真理とのかかわりを、これから新たに、少しずつ創っていきたいと思っています。                   つづく・・・  次回は    「 お母さんたちのセルフ・カウンセリング体験記 2 」    をお送りいたします。        どうぞ、お楽しみに!    皆様のご意見ご感想をお寄せいただけたら幸いです。  self_counseling2000@yahoo.co.jp  セルフ・カウンセリングには、  通学講座、通信講座など様々な講座があります。  詳しい内容はこちらから →http://www.self-c.net/sutady/index.html              →https://www.self-c.jp/study/self-counseling/  ご興味のある方は、下記の事務局までお問い合わせください。    一般社団法人生涯学習セルフ・カウンセリング学会  〒215-0003 神奈川県川崎市麻生区高石4-23-15  URL  http://www.self-c.net  電話 044-966-0485 ファクシミリ 044-954-3516  電子メール  self_counseling2000@yahoo.co.jp      ************************************** ************************************** ◎このメルマガに返信すると発行者さんにメッセージを届けられます ※発行者さんに届く内容は、メッセージ、メールアドレスです