※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※                                            セルフ・カウンセリング          ♪ 自分の心に出会えるメルマガ ♪             ( ”イライラ””モヤモヤ”が解消できる!) ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※                     第 383 号  2023 年 2月   15日 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※    新型コロナウィルス感染症の影響で苦しみのうちにあるすべての皆さまへ    心よりお見舞い申し上げます。    またその方々のために献身的に働いておられる医療関係者の皆さまへ    そして社会のライフラインを維持するために働かれている皆さまへ    感謝申し上げますとともに一日も早く元の平穏な日々に戻りますことを    心よりお祈りいたします。     **************************************    みなさん、こんにちは。    「 セルフ・カウンセリング ♪自分の心に出会えるメルマガ♪ 」    をお読みいただきありがとうございます。    みなさんは、セルフ・カウンセリングという言葉を    耳にしたことがおありですか?    これは、渡辺康麿氏が創案した、    書いて読む、一人で出来る自己発見法です。    私たちは、このセルフ・カウンセリングを学んでいるグル-プですが、    みなさんにも、ぜひ、この方法をお伝えしたいと思い、    同氏の著書を連載することにいたしました。    楽しくお読みいただけたら幸いです。   〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜    連載になっております。興味のある方は、    バックナンバーからお読みいただくとわかりやすいと思います。       1号〜    「自分の心に出会える本」     23号〜    「自己形成学の創造」     32号〜    「セルフ・カウンセリングの方法」     62号〜    「自分って何だろう‐現代日本人の自己形成‐」    136号〜    「大人の自己発見・子どもの再発見」 176号〜    「自分を見つける心理分析」 286号〜    「避けられない苦手な人とつきあう方法」 334号〜    「わかっていてもイライラするお母さんへ」 356号〜    「小学生にわかっていてもイライラするお母さんへ」     376号〜 新連載「反抗期とわかっていてもイライラするお母さんへ」  バックナンバーはこちら→https://secure02.red.shared-server.net/www.self-c.net/mg/index.html   〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜* ************************************** **************************************    人は、生まれてから今に至るまでの人生の中で、    いろいろな経験をします。        そして、その経験を通して、    「こうしなければならない」とか「こうあらねばならない」とかいう    その人なりのモノサシを形作っていきます。    自分の生い立ちを振り返ることによって、    無意識に取り込んできたそのようなモノサシに気づき、    そのとらわれから自由になっていく方法を    自己形成史分析といいます。    セルフ・カウンセリングという方法は、    このような、自己形成史分析という    自己探究の方法が基礎になっています。        ☆★☆ セルフ・カウンセリングとは? ☆★☆    セルフ・カウンセリングでは、    自分が経験した日常生活のある時の場面を書きます。        家庭や学校、職場での場面など、どのような場面でもかまいません。        テレビを見た時、本を読んだ時、一人で考えている時など、    相手がいない場面も大切な題材になります。    もちろん文章の上手・下手はまったく問題ありません。    専門知識も必要ありません。        自分が見たこと、聞いたこと、思ったこと、言ったこと、したことを、    時間の順にそのまま書くと、リポートになります。    まず、自分が何を悩んでいるのかわかります。    その悩みの奥に、どのような願いがあるのかわかります。        そして、相手の気持ちがわかります。        そうすると、自分と相手の気持ちを尊重しつつ、    心を通わせてゆくための知恵が生まれます。        人間関係のすべてに共通する心のからくりを、    自分の経験を通して学ぶことができます。 ************************************** **************************************              「反抗期とわかっていてもイライラするお母さんへ」       中・高校生の心が見えてくるセルフ・カウンセリング                                    渡辺康麿著  より抜粋    ( vol . 8 ) ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++          ─ お母さんたちのセルフ・カウンセリング体験記 ─     ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++              2 その口のきき方は何よ!           “聞きたい、でも、我慢しなくちゃ”                     自分の中の葛藤に気づいて       相沢芳子             息子が自分から話すようになって来た! ( 体験記 2 ー 前半 )  ☆★☆ 息子の気持ちを聞き出したい ☆★☆  私が、初めて、セルフ・カウンセリングに出会ったのは、今から三年前のことです。  たまたま目にした市の広報紙に、“セルフ・カウンセリング講座”のお知らせが載っていたのです。  私は、“セルフ・カウンセリング”という言葉を、この時初めて知りました。  どのような内容なのかわかりませんでしたが、“カウンセリング”という言葉に魅力を感じました。  <人の話を上手に聞けるようになるための講座なのではないかしら。   もし、そうなら、ぜひ参加してみたい>と思ったのです。  当時、息子の浩史は中学二年生、まさに反抗期のまっただ中にいました。  言葉も態度も乱暴になり、顔を合わせれば親子ゲンカの毎日でした。  ひとしきり私と言い合うと、息子は決まって、不機嫌な顔をして自分の部屋に閉じこもってしまいます。  私には、息子が何を考えているのか、さっぱりわからなくなっていました。  <セルフ・カウンセリングを学ぶことで、息子の気持ちを、上手に聞き出せるようになるかもしれない>  そんな思いから、私は受講を決心しました。  ☆★☆ 私だけ場違いではないかしら ☆★☆  講座の第一日目は、自己紹介から始まりました。  参加者の大半は、二十代の若いお母さんたちでした。  そのお母さんたちの口から、まだ小さいお子さんについての悩みを聞いているうちに、  私の中に<ちょっと場違いなところに来てしまったかな>という思いが湧き上がってきました。 “買い物に行くたびにお菓子をねだる” “母親べったりで、友だちと遊べない” “上の子が、下の子にやきもちを焼く”などなど、  若いお母さんたちが抱えている問題は、かつては、私も頭を悩ませていた問題でした。  けれども、今となっては、それは、私にとって過去のことです。  今の私にとって一番関心のあることは、  反抗的な十四歳の息子の気持ちをどうしたら聞き出せるだろうか、ということなのです。  <受講生の大半が、若いお母さんなんだもの。   講座では、そんなお母さんたちの悩みを取り上げることが多くなるだろうな。   それなら、参加しても仕方ないかな>  私は、自分の番が回ってきた時に、息子の気持ちを聞きたくて受講したことと、  今、自分がちょっと場違いなところに来てしまったのではないかと感じている、  ということを率直にお話ししてみました。  ☆★☆ ためらいや戸惑いを受けとめてもらえた ☆★☆  講師の先生は、穏やかな表情で、私の話を聞いて下さいました。そして、こうおっしゃいました。 「息子さんの気持ちを聞きたいというお気持ちから、受講されたのですね。  この年頃の子どもにとって、親というのは、煙たい存在であるとともに、甘えたい存在でもあるようです。  強く反発し、親を拒否しているように見えながら、実は、そうやって親に甘えているのです。  そんな子どもの気持ちを上手にキャッチして、受けとめてあげることができると、  本当の意味での、自立が可能になってくると思います。  相沢さんは、お子さんの気持ちを受けとめることの大切さを理解しておられるのだな、と感心いたしました。  そして、お子さんにとって、とても大切な時期に、受講されたことはとても良かったな、と思います。  セルフ・カウンセリングでは、日常生活の一場面を取り上げ、  その時の相手とのやりとりを具体的に書き、見つめていきます。  もし、最近、息子さんお気持ちを、上手に聞けなかったな、と感じたような出来事があったなら、  そのような時のことを取り上げてみると良いかもしれませんね。  どのように話しかければ良かったか、ということが見えてくるかもしれません。  それから、自分だけが、場違いなようなお気持ちになっておられる、とのこと。  よく、率直に、お気持ちをお伝えくださいました。とてもうれしく思いました。  これからも、心にかかることがあれば何でもおっしゃって下さい。  この講座では、自分の気持ちを表現し伝える、ということを、とても大切なことと考えています。  さて、相沢さんは、ご自分の抱えている問題が、  ほかの方たちの問題と異なっているように思えて、何となく落ち着かなさを感じていらっしゃるのですね。  確かに、今回の講座では、小さなお子さんをお持ちの方が多いようですね。  お子さんの年齢が違えば、生じてくる問題も当然異なって来ることでしょう。  相沢さんがご心配になるのはもっともなことだと思います。  ただ、この方法は、セルフ・カウンセリング、つまり、一人でできるカウンセリングなのです。  基本的には、自分で自分のことを見つめる、という方法なので、  さまざまな問題を抱えた方が、一緒に学ぶ、ということに、まったく支障はありません。  とはいえ、せっかくこれまでの方たちが、同じ時間を過ごす機会に恵まれたのです。  何らかの交流がなければ、もったいないような気が致します。  私は、こう考えてみたら、良いのではないかと思うのですが、相沢さんはどうお感じになるでしょうか。  確かに、子どもの年齢が違えば生じてくる問題も変わってきます。  けれども、どの問題もつきつめてゆけば、  親と子のコミュニケーションの問題にいき着くのではないでしょうか。  抱えている問題は違っていても、  親子のよりよいコミュニケーションを願って悩んでいる、という点では、  みなさん、同じなのではないでしょうか。  そう考えれば、ここにいる皆さんは、同じ願いを持つ仲間だ、と考えることができるのではないでしょうか。  私は、先生の言葉に、とても温かいものを感じました。  私の感じたちょっとした戸惑いやためらいを、  きちんと受けとめてくださったということが、とてもうれしかったのです。  また、そんな先生の話を、うなずきながら聞いておられたほかの受講生の方々にも、  私は、好感を抱きました。  良き師と良き仲間を得て、『さあ、やるぞ!』という意欲がわいてきました。  ■初めて書いた記述  第二回目の講座では、最初に先生が、書き方の説明をなさり、  その後で、それぞれが場面記述の実習を行いました。  前回の自己紹介の際、先生から、息子の気持ちを上手に聞けなかった時のことを選んでみては、  とアドバイスを受けていたので、最近あった、ある出来事を取り上げてみました。  場面〈1〉【ババァに関係ねェんだよ】  【場面説明】  午後四時頃。私が居間で片づけ物をしていると、玄関の戸の閉まる音がした。  私が廊下に出ると、浩史がふてくされた態度で私の横を通り過ぎようとした。 【場面記述】  浩史は肩を大きく揺すらせながら歩いて来た。  私は<あーあ。また、あんな仏頂面して。なんて態度だろう。ふてくされて、感じ悪いわね。     なんか、学校であったのかしら。聞いてみようかな。でも、きっとうるさがられるだろうな。     気を使って話しかけて、どなり返されたりしたら、それもしゃくにさわる。     勝手にふてくされているんだから、ほっとこうかしら。でも、やっぱり気になる。     気は進まないけれど、ちょっとだけ聞いてみようかな。とがめるような口調じゃ、逆効果だわ。     できるだけ、明るく聞いてみよう>と思った。  私は浩史の背に向けて    「あら、浩史、お帰りなさい。全然気がつかなかったわ。“ただいま”くらい言ったらいいのに」と言った。  浩史は前を向いたまま階段下へ行こうとした。  私は<こっちを見ようともしない。だんまりを決めこむつもりなんだわ。     心配してやってるのに、何よ、あの態度は>と思った。  私は「浩史、返事くらいしなさいよ」と言った。  浩史は振り返って「うるせェなァ。今は口をききたくねェんだよ」と言った。  私は<ほら、すぐこうなるんだから。なんで、もっと普通に口がきけないのかしら。     前はもっと素直だったのに。今の時期はしかたない、とわかっていても、やっぱり腹が立つわ>と思った。  私は「人が心配しているのに、その言い方はなに?いったい何があったの。友達とケンカでもしたの?」と言った。  浩史は「してねェよ」と言った。  私は「じゃあ、先生にでも叱られたの?」と言った。  浩史は「うるせェって言ってんだろう。ババァには関係ねェんだよ」と言った。  私は<何がババァよ。失礼しちゃう。よくそんな口のきき方が出来るもんだわ。     いつもろくなことしてないんだから、今日だって、きっと先生に叱られたんだわ。     もうイヤになっちゃう。すぐ問題を起こすんだから。少しは私の身になってよ。     後で親だけが知りませんでした、では、みっともなくて、立場がないじゃない>と思った。  私は「なぜ、関係ないのよ!親に学費を出してもらって学校に行ってるんでしょ。     親に学校であったことを話すのは当たり前でしょ!」と言った。  浩史は私の言葉を最後まで聞かず、     足音をドンドンと響かせながら階段を上り、自分の部屋のドアをバタンと閉めた。  ☆★☆ これ以上、どうしようもないのではないかしら ☆★☆  実は、後でわかったのですが、この日、浩史は部活(放送部)の先生に叱られ、  自分の書いた文化祭用の放送原稿が、全部没になってしまったそうなのです。  この原稿に関しては、浩史なりに力を入れていましたから、没になってさぞがっかりしただろうと思います。  その気持ちはわからなくはありませんが、それならそうと、初めからそう言ってくれればよかったのです。  そうしたら、私だって、もう少しやさしく浩史に接してあげることができたのです。  けれども、この時の私に、これ以上何ができたでしょう。  私は、浩史に“いったい何があったの”と聞いているのです。  それにもかかわらず、浩史は、それに答えてくれなかったのです。  聞いても答えてくれないなら、どうしようもないのではないでしょうか。  一応、記述を書いてはみたものの、釈然としない気持ちが残りました。  ☆★☆ 記述を繰り返し読み返してみましょう ☆★☆  私は、書き上がった記述を講師の先生にお見せしてみました。  そして、書いてみても、釈然としない気持ちが残っていることもお話ししてみました。  すると、先生は「記述の書き方をとても良く理解されていますね。  この時の息子さんとのやりとりが、とてもリアルに書けています。  特に、この時の相沢さんのお気持ちが、とてもいきいきと表現できていて、すばらしいですね。  ただ、相沢さんの中には、釈然としない思いが残っておられるのですね。  書いてみても、これ以上どうすることも出来なかったのではないか、とお感じになるのですね。  相沢さん。  相沢さんの中には、この時どうすれば良かったのか、  という答えを求めるお気持ちが強くおありになるのではないかな、と感じたのですが、いかがでしょうか。  もし、そうであるなら、そのお気持ち、とても良くわかるような気が致します。  息子さんとのかかわりは、日々起こっていることなのです。  一日も早く、よりよいかかわりが実現することを願うのは当然のことだと思います。  ただ、できれば、答えを求めるお気持ちに、ちょっとストップをかけられるとよいですね。  セルフ・カウンセリングでは、どうすれば良かったのか、という答えを求めるより前に、  まず、どうであったのかを、見つめてみることが大切だと考えています。  自分自身はどうであったのか、また、相手はどうであったのか、  さらには、自分と相手のかかわりはどうであったのか、  ありのままの姿を見つめることで、どうすれば良かったか、ということは自然に見えてくるのです。  まずは、記述を繰り返し読み返してみると良いと思います。  自分読み、相手読み、全体読みの三通りの読み方を組み合わせて、何度も繰り返し、読み返すことで、  きっと今まで、見えてこなかったものが、見えて参りますよ」とおっしゃいました。  私は、何だか、きつねにつままれたような気持ちになりました。  ただ、繰り返し読むことで、本当に、何かが見えてくるのだろうか。  そんな疑問はぬぐい切れませんでした。何か、はぐらかされてしまったような気もしました。  けれども、何となく、この時のことが、  自分には、ちゃんと見えていないんじゃないか、という気がしているのも確かなのです。  私は<先生が、ああおっしゃっているのだから、読み返してみようかな。     読み返すぐらいわけないことだわ。だまされたと思ってやってみよう>と思い、記述を読み返し始めました。  ☆★☆ この時の印象が変わってきた ☆★☆  私は、まず、記述全体を時間の順に何回か読み返してみました。  そして、次に、記述の自分の欄だけを読んでみました。  本音を言えば、読み始める前、  私は<自分のところを読もうが、相手のところを読もうが、元は同じ記述なんだもの。     何も変わるところはないじゃない。     何でわざわざこんな面倒くさいことをするのかしら>と思っていました。  ところが、自分の欄だけを読んだときに、全体を読んだときとは、違った感じを受けたのです。  全体を読んだとき、私は、 “私は冷静に浩史に話しかけていたのに、浩史が反抗的な態度をとった”と感じました。  ところが、自分の欄だけを読んでみて、果たしてそうだったのだろうか、という疑問が生まれてきたのです。  私は、自分が浩史に、どんな言葉を投げかけていたのか、それを確かめてみたくなりました。  そこで、自分の欄のセリフだけを抜き出して読み返してみました。 「あら、浩史、お帰りなさい。全然気がつかなかったわ。“ただいま”くらい言ったらいいのに」 「浩史、返事くらいしなさいよ」 「人が心配しているのに、その言い方はなに?いったい何があったの。友達とケンカでもしたの?」 「じゃあ、先生にでも叱られたの?」と言った。 「なぜ、関係ないのよ!親に学費を出してもらって学校に行ってるんでしょ。  親に、学校であったことを話すのは当たり前でしょ!」 “明るい口調で話しかけよう”などという心配りがあったのは、初めのセリフの間だけでした。  私は、一言いうごとに感情的になって、たたみかけるように浩史を問いつめていたのです。  <こんなに感情的になっていただなんて。これじゃあ、浩史が話す気にならないのは当然だわ>  私は、ちょっとショックを受けてしまいました。  ☆★☆ 浩史もつらかったんだな ☆★☆  今度は相手の欄を読んでみました。  浩史は肩を大きく揺すらせながら歩いて来た。  浩史は前を向いたまま階段下へ行こうとした。  浩史は振り返って「うるせェなァ。今は口をききたくねェんだよ」と言った。  浩史は「してねェよ」と言った。  浩史は「うるせェって言ってんだろう。ババァには関係ねェんだよ」と言った。  浩史は私の言葉を最後まで聞かず、  足音をドンドンと響かせながら階段を上り、自分の部屋のドアをバタンと閉めた。  浩史は、普段は、学校から帰って来ると、まず冷蔵庫の所に行き、腹ごしらえをして、  それから二階の自分の部屋に行きます。  ところが、この日は、帰って来るなりすぐ二階に行こうとしていました。  先生に叱られたことで、よほど気持ちがムシャクシャしてたのでしょう。  私とやり合った後、浩史は自分の部屋にこもったきり、その日はとうとう二階から降りて来ませんでした。  こうして、浩史の行動をあらためて読み返してみて、  自分の部屋に引きこもってしまった浩史の気持ちが、痛いほどわかるような気がしました。  <浩史は浩史で自分を守るのに精一杯だったのではないかしら。   いやなことがあった時は、そのことを思い出すだけでいやな気持ちになるもの。   まだまだ生々しい傷口を、つつかれたくはなかったんだわ。   かわいそうなことをしてしまったな>と、思えてきたのです。  ☆★☆ 私がいけなかったんだ ☆★☆ “浩史の気持ちを、理解したい”それが、この講座を受講しようと思った動機でした。  浩史とのかかわりをありのままに書き、繰り返し読み返すことで、それは実現しました。  けれども、それで私の悩みが解消されたかといえば、実はそうではありませんでした。  私の気持ちは、これまで以上に重いものとなってしまいました。  これまで、私は、浩史の気持ちが見えてこないのは、  私が聞こうとしても、浩史が反発するからだ、と考えていました。  けれども、記述を読み返しているうちに、  浩史は、浩史なりに、その時の自分の気持ちを伝えていることが見えてきました。  それなのに、私自身が、浩史の気持ちを無視していたのです。  もし、この時、“口をききたくない”という浩史の気持ちを、きちんと受けとめ、  浩史の気持ちが落ち着くのを、少し待つことができたなら、  浩史も、率直に自分の気持ちを話してくれたのではないでしょうか。  <自分本位に、浩史の気持ちを聞き出そうとした私がいけなかったんだ>  それは、とてもつらい発見でした。  けれども、落ち込んでいたって、何もなりません。  つらい発見ではあるけれど、それを生かして、よりよいかかわり方を考えなければ、  せっかくここまで探究したかいがありません。  ☆★☆ 「俺のことは、もう、ほっておいてくれ」 ☆★☆  今回の探究で、相手の行動をしっかりと見つめれば、  相手の気持ちが自然と見えてくるのだ、ということがわかりました。  日常生活の中でも、浩史の様子をよく見ることで、  浩史の気持ちがおのずから、見えてくるのではないか、と私は考えました。  翌日から、私は浩史の様子を良く見ることにしました。  自分の部屋にこもりがちな浩史と顔を合わせることができるのは、  浩史がおなかを空かせて、食堂にやって来る時ぐらいです。  私は、食堂で食事をしたり、おやつを食べたりする浩史の様子を一生懸命見ることにしてみたのです。  浩史の様子を見ようとすると、そちらに気が集中するせいか、私の口数は少なくなりました。  口うるさくなくなったのは良いのですが、  もともと、私と息子の間には、会話らしい会話などなかったのです。  私が黙ってしまえば、沈黙が続くばかりです。  浩史はもくもくと何かを食べ、  私がそんな浩史の様子をじっと見ている、そんなことが、何日か続いたでしょうか。  ある日、とうとう、浩史がいら立ちを爆発させました。 「なに考えてんだよ。ジロジロ、ジロジロ人のこと見やがって!おれのことは、もう、ほっておいてくれ!」  ものすごい勢いでどなると、自分の部屋にこもってしまったのです。  それ以来、食事の時は、しぶしぶ食堂に下りてきますが、  おやつは、めぼしいものをあさると、それを自分の部屋に持って行き、  自分の部屋で食べるようになってしまいました。                 以下、次号(後半)へつづく・・・    ・・★・・ 編集後記 ・・★・・  立春を過ぎ、  空の色が変化しているように感じます。    2月に入り、トルコ・シリア国境での大地震発生  国内では大雪で都市機能の乱れ  日常の生活に影響がでているところがあります。  自然の前に、ちょっと立ちどまり  静かに「自分をみつめる」機会になるかもしれません。  日々、風の冷たさに清々しさを感じ  芽吹きの時を迎え、気持ちを新たに、  春の訪れが待たれます。  新型コロナウィルス感染症による影響は  現在も続いています。  日常生活の中で、  季節の変化、身体の変化に目を向けつつ  記憶をたどっています。  改めて、いま一度  何を大切にしていくか、  思い巡らせて、生活したいと思います。  ちょっと立ちどまり  深呼吸してみましょう。  自分の心の変化に  気づく機会になるかもしれません。  目まぐるしく過ぎてゆく生活の中で、  息を抜く時間を大切にしたいものです。  皆さまとご一緒に考える機会となれば、  嬉しく思います。  ご一緒に考えてまいりましょう。  次回を、どうぞ、お楽しみに!  皆様のご意見ご感想をお寄せいただけたら幸いです。  self_counseling2000@yahoo.co.jp  セルフ・カウンセリングには、  通学講座、通信講座など様々な講座があります。  詳しい内容はこちらから →http://www.self-c.net/sutady/index.html      →https://www.self-c.jp/study/self-counseling/  ご興味のある方は、下記の事務局までお問い合わせください。    一般社団法人生涯学習セルフ・カウンセリング学会  〒215-0003 神奈川県川崎市麻生区高石4-23-15  URL  http://www.self-c.net  電話 044-966-0485 ファクシミリ 044-954-3516  電子メール  self_counseling2000@yahoo.co.jp      ************************************** 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