※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※                                            セルフ・カウンセリング          ♪ 自分の心に出会えるメルマガ ♪             ( ”イライラ””モヤモヤ”が解消できる!) ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※                     第 390 号  2023 年 6月   1日 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※    みなさん、こんにちは。    「 セルフ・カウンセリング ♪自分の心に出会えるメルマガ♪ 」    をお読みいただきありがとうございます。    みなさんは、セルフ・カウンセリングという言葉を    耳にしたことがおありですか?    これは、渡辺康麿氏が創案した、    書いて読む、一人で出来る自己発見法です。    私たちは、このセルフ・カウンセリングを学んでいるグル-プですが、    みなさんにも、ぜひ、この方法をお伝えしたいと思い、    同氏の著書を連載することにいたしました。    楽しくお読みいただけたら幸いです。   〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜    連載になっております。興味のある方は、    バックナンバーからお読みいただくとわかりやすいと思います。       1号〜    「自分の心に出会える本」     23号〜    「自己形成学の創造」     32号〜    「セルフ・カウンセリングの方法」     62号〜    「自分って何だろう‐現代日本人の自己形成‐」    136号〜    「大人の自己発見・子どもの再発見」 176号〜    「自分を見つける心理分析」 286号〜    「避けられない苦手な人とつきあう方法」    334号〜    「わかっていてもイライラするお母さんへ」    356号〜    「小学生にわかっていてもイライラするお母さんへ」    376号〜 新連載「反抗期とわかっていてもイライラするお母さんへ」  バックナンバーはこちら→ https://secure02.red.shared-server.net/www.self-c.net/mg/index.html   〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜*〜・〜* ************************************** **************************************    人は、生まれてから今に至るまでの人生の中で、    いろいろな経験をします。        そして、その経験を通して、    「こうしなければならない」とか「こうあらねばならない」とかいう    その人なりのモノサシを形作っていきます。    自分の生い立ちを振り返ることによって、    無意識に取り込んできたそのようなモノサシに気づき、    そのとらわれから自由になっていく方法を    自己形成史分析といいます。    セルフ・カウンセリングという方法は、    このような、自己形成史分析という    自己探究の方法が基礎になっています。        ☆★☆ セルフ・カウンセリングとは? ☆★☆    セルフ・カウンセリングでは、    自分が経験した日常生活のある時の場面を書きます。        家庭や学校、職場での場面など、どのような場面でもかまいません。        テレビを見た時、本を読んだ時、一人で考えている時など、    相手がいない場面も大切な題材になります。    もちろん文章の上手・下手はまったく問題ありません。    専門知識も必要ありません。        自分が見たこと、聞いたこと、思ったこと、言ったこと、したことを、    時間の順にそのまま書くと、リポートになります。    まず、自分が何を悩んでいるのかわかります。    その悩みの奥に、どのような願いがあるのかわかります。        そして、相手の気持ちがわかります。        そうすると、自分と相手の気持ちを尊重しつつ、    心を通わせてゆくための知恵が生まれます。        人間関係のすべてに共通する心のからくりを、    自分の経験を通して学ぶことができます。 ************************************** **************************************              「反抗期とわかっていてもイライラするお母さんへ」       中・高校生の心が見えてくるセルフ・カウンセリング                                  渡辺康麿著  より抜粋                         ( vol . 15 ) ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++          ─ 親子で学ぶセルフ・カウンセリング体験記 ─             ++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++          1 友達と一緒じゃなきゃ            嫌だなんて情けない!                      娘にも自立の芽生えが            生まれていることに気づいて      柿本晴子           消極的だった娘が自分の意見を言うことができた!              ( 体験記 1 ー 後半 )   前号からの続きですので、バックナンバー389号から      お読みいただくとわかりやすくなっています。  ☆★☆ 彩子の気持ちを聞いてみる ☆★☆  私は、翌日、思い切って、彩子にあの日の朝のことを聞いてみました。 「あの日、なんで、朝練休むって言ったの」と。  すると、彩子は 「朝練って、全体練習よりも、パート練習をすることが多いの。  あの日は、フルートパート(彩子のパート)は、私以外来れないって聞いていたから・・・。  行ってもしょうがないかな、って思って・・・」と説明してくれました。  そこで、さらに 「それじゃあ、何で、そのことを前の晩に言っておいてくれなかったの」と聞いてみました。 「フルートパート、誰も来なくても、一人で練習していればいいかなって、迷ってたの。  だけど、何だか、他のパートの人達が、グループになって練習している中で、  一人で練習するのは、やっぱり恥ずかしいかなって思って。それで、朝になって休むって言ったんだ」  私は、ちょっとびっくりしてしまいました。  彩子は、やる気をなくしたのではなく、一人でも練習したいとさえ思っていたのです。  彩子がこんなふうに思っていたなんて、思ってもみなかったことでした。 「それなら、何で、あの時、その理由を話してくれなかったの」  彩子は、ちょっと、うつむきかげんになりながら 「だって、お母さん、怒っているみたいだったし・・・。  なかなか言い出せなかったの。私、自分のこと、話すの苦手なんだ」とぽつりと言いました。  ☆★☆ ありのままの相手、ありのままの自分が見えてくる ☆★☆  次の講座に出席した時、私は、再び先生にこれまでの経緯をご報告しました。  すると先生は、次のようにアドバイスして下さいました。 「記述を繰り返し読まれることで、  知らず知らずのうちに自分の考えをお嬢さんに押しつけていたことに気づかれたのですね。  そして、そのことに気づくことで、  逆に、お嬢さんの中に自立への芽生えが生まれて来ていたことに気づかれたのです。  すばらしい気づきだと思いました。  場面記述の用紙には、真ん中に、縦の線が入っていますね。  この線より右に自分のことを書き、左に相手のことを書きます。  この線を、自他境界線と呼びます。  自分と相手を分ける線ですね。  日常生活の中で、私たちは、  自分と相手の境をあいまいにしたまま、相手にかかわっていることが多いのです。  柿本さんがなさったように、日常生活の一場面を記述に取り上げ、相手と自分とを分けて書くことで、  初めてありのままの相手の姿、ありのままの自分の姿が見えて来るのです。  これからも、何か気になることがあるたびに、お嬢さんとのかかわりを記述していかれると良いですね。  それから、お嬢さんのことですが、『自分のこと、話すのが苦手』とおっしゃっていますね。  この時期のお子さんは、人間関係で気持ちの揺れることが多いことと思います。  もし、何か悩みを抱えているような様子があるようでしたら、  セルフ・カウンセリングをお嬢さんにすすめてみるのも、ひとつの方法だと思います」  ☆★☆ 娘にセルフ・カウンセリングをすすめてみる ☆★☆  先生からそんなアドバイスをいただいてから、しばらくたったある日のことです。  夕食後、テレビを見るともなく見ていた彩子が、ひとり言のように「扁桃腺、はれてないかな」と言いました。  私は、何を言っているのか、意味がわからず、思わず「え?」と聞き返しました。  彩子は続けて「扁桃腺はれたら、明日学校行かなくていいよね」と言ったのです。  私は、<これは、何かあるぞ>と感じました。  それで、学校で何があったのかを聞いてみました。  彩子の話によると、今、美術では六人一組になって一枚の大きな絵を合作しているそうです。  ところが、彩子は絵のテーマから構図、色彩にいたるまで、ことごとく他の五人と意見が合わず、  結局イヤイヤ五人のいいなりになっているとのことでした。  また、そのイヤイヤが友達にも伝わって、「何でブスッとしてるの、感じ悪いよ」と言われたというのです。  私はこれを聞いて、ちょっと意外な気がしました。  今までの娘は、友達のいいなりになってばかりいたように思います。  たとえ、自分の意見があっても、それを口にすることはありませんでした。  そんな彩子を私は歯がゆいと思っていたのです。  <ヘェー。彩子も自分を主張したいんだ。   だけど、自分を出そうとしても、出せないで悩んでいるんだ>意外に思うとともに、  先日の先生の言葉が思い返されました。  <そうだ。セルフ・カウンセリングをすすめてみよう> 「もしよかったら、お母さんが勉強している方法を試してみない?  この紙に、いやだな、と思った時のことを、そのまま書けばいいの。  書くだけでも問題の整理になると思うわよ。お母さんに見せたくなかったら見せなくてもいいし」  私は用紙を娘に渡し、書き方を簡単に説明しました。  彩子は、一応は、私の説明を、ふんふんと聞いていましたが、その場ですぐ書き出す様子はありませんでした。  私も、あまりすすめても、かえって、うっとうしがるだろうと、その晩はそのままにしておきました。  ところが、翌日の朝、彩子は記述を書いた用紙を持って、私の所に来たのです。  彩子は、少しさっぱりとした顔をしていました。 「こんなもの、書いたってしょうがないって思ったけど、まあ、書くだけ書いてみるかって思って。  でも、書いてみたら、何だか気持ちがすっきりした。  最初は、お母さんに見せるつもりなかったけど、見せてもいいかなっていう気持ちになった。  これ置いていくね」と言いながら、彩子は学校に出かけていきました。  ■娘の書いた記述〈1〉  【何で勝手に決めちゃうの?】  九月〇日 美術の時間。  美術教室で、ヨシ、マキ、トモ、サキ、ヒロ、私の六人で、一枚の絵を合作することになった。  先生は「グループに分かれたら、まずテーマになる季節を決めましょう。      それが決まったら、その季節をイメージさせるような絵を書きましょう。      イメージをたくさんふくらませてね」と言った。  ヨシは「ね、ね、夏がいい。夏にしようよ」と言った。  マキは「別に、何だっていいけど」と言った。  トモは「夏だったら海にしない?」と言った。  ヨシは「海よりやっぱり太陽だよ。エネルギーいっぱいって感じがいいな」と言った。  トモは「でも、サーフィンとかスキューバなんか、いい感じだョー」と言った。  マキは「トモは今年はじめてスキューバやったんだよね。いいよね。なんでもやらせてもらえて」と言った。  トモは「海の中ってシビレタヨー」と言って、体をふるわせてシビレたまねをした。  マキは「トモは勝手にシビレてな」と言った。  みんなはおもしろそうに笑った。  私は<海も、太陽もありきたりだな。そんなの全然つまんない。     でも、みんなはそれでいいと思っているんだ。せっかく書くんならもっと独創的な絵がいいのに>と思った。  ヨシは「じゃあ、どっちにしても夏でいいね。夏にしましたって、先生に言って来るね」と言った。  私は<エー、ちょっと待って。なんで勝手にどんどん決めちゃうの>と思った。  ヨシは「先生」と言いながら、先生の所に走って行った(いつもこんな感じで友達が勝手に決めてしまう)  ☆★☆ このときの気持ちを少しくわしく思い出してみない? ☆★☆  その日の夕食後、娘と私は記述用紙をはさんで向かい合って座りました。  私は娘に「記述、とても良く書けていたね。  お友達とのやりとりとか、彩子の気持ちが、くわしく書けていたから、このときのことが、とっても良くわかった。  自分のこと、こうやって書くのって、ちょっと勇気のいることだと思うし、  それを、お母さんに見せるのは、もっと勇気のいることだと思う。  良く、こうやって、書くことができたね。それから、これを出すことができたね」と言いました。  すると、彩子は、ちょっとびっくりしたような顔をして、 「わぁー。お母さんからほめられるなんて、びっくり!  私はね、これ書いて、何となく気持ちがすっきりしたから、  この書き方を教えてくれたお礼のつもりで、お母さんに、これを出したの。  でも、これ読んだら、きっと、 『もっと積極的になりなさい!』ってお説教されるな、と思ってたのに」と言いました。  私は、苦笑いをするしかありませんでした。  私は、続けて、彩子にこう提案しました。 「お母さんは、場面記述を初めて習った時、  先生から、自分の気持ちを、くわしく具体的に表現してみましょう、と言われたの。  それで、その通りにしてみて、いろんな気づきがあったの。  だから、彩子も、このときの気持ちを、少しくわしく思い出してみない」。  娘は、少し不安そうな顔になって 「私、このときの気持ちを記述の中に書いたよ。これだけじゃ足りないの?」と言いました。  娘は、自分が書いたものが十分ではない、と私に批判されたと思って、不安になったようです。  私は「うん、そうだね。彩子は、このときのことを心のセリフに書けているね。  お母さんも、初めて記述を書いた時、自分の気持ちをその中に十分に書いたつもりだったの。  でも、先生にあらためてこんなふうに表現してみましょう、って言われたら、  後から後からたくさんの思いが、自分の中から出て来たの。  だから、もし良かったら、もう一度お母さんと一緒に読み直して、  このときの気持ちが思い出せるか、試してみないかなって思って」と言いました。  娘は、少しほっとしたような顔をして「うん。それなら、やってみる」と言いました。  ☆★☆ 自分の気持ちを、もっと話してみるよ ☆★☆  私は、まず初めに、先生が、絵の説明をされた時のことを聞いてみました。 「先生が、初めに、こうおっしゃった時、彩子は、どんな気持ちだったの?」  彩子は「うーんとね、まず、とってもおもしろそうだなって思った。  それで、春から順番に、その季節に対して、自分がどんな感じを持っているか、考えていたの。  四つの季節に対する感じを全部考えてから、どの季節にするか決めれば良い、と思っていたから。  そしたら、急にヨシが『夏、夏』って言いだしちゃって・・・」と言いました。  私は「今の気持ち、そのまま、先生の言った言葉の後に、自分の思いとして書いておけば?  とっても良く思い出せていたから」と言いました。  娘は「うん。そうだね」と、言って書き加えました。  こんな調子で、記述の一行一行に、私が、娘の気持ちを問いかけ、  それに、娘がこたえて、記述を書き加える、ということを続けて行きました。  一通り、心のセリフを書き加えてから、私は、娘に、記述をもう一度読み返してみるようにすすめてみました。  そして、それから、何か気づいたことがないか、聞いてみました。  娘は、ちょっと首を傾けながら 「うーん。私は、季節のイメージを絵にするっていうことに、すっごく興味を持っていたっていうことかな。  なんかどんな絵に描けるのか、いろいろ想像するだけでわくわくして来ちゃうっていう感じで、  もっと時間をかけて、いろいろ考えたかったんだと思う。  でも、他の友達は、そんなに興味なかったのかな。  もし、グループ制作でなければ、何の問題も起こらなかったと思う。  興味のある人は、じっくり取り組むし、そうでない人は、適当に描くし、で。  なんで、グループ制作なんてやるんだろう。絵に興味のある人もない人もいるのに。  ペースがあわないの、当然じゃないね」と、私に同意を求めるように言いました。  私は、相づちをうとうとしたのですが、次の瞬間、娘は、はっとしたような表情になり、  突然、すごい勢いでしゃべり出しました。 「そうか!グループ制作ってそれが目的なのか。  絵に興味のある人も、絵に興味のない人も、それぞれが、こうしたい、ああしたいって言いながら、  作業を進めれば、ひょっとしたら、一人では描けないようなものができるかもしれない。  私、このとき自分の気持ちを何にも話していないよね。  それじゃあ、グループ制作の意味が全然ないね。  こんなことを考えているんだよ。  こんなことがおもしろいと思うんだっていうこと、話してみれば良かったな」  唖然とする私を尻目に、  娘は「なんか、すごいことに気がついちゃったな。お母さん、ありがとう。  今度の美術の時間、私、もっと自分の気持ちを話してみるよ。じゃあ、お休みなさい」と意気揚々と、  自分の部屋へ引き上げて行きました。  私は、何だかおかしくなってしまいました。  娘が、自分で勝手に自分の悩みを解決してしまったことが、  そして、それ以上に、娘の気持ちがおのずから積極的なものに変わっていったことが、おかしく感じられたのです。  これまで私が、いくら「積極的になりなさい」と口をすっぱくして言っても、  一向に、そうならなかったのに・・・。  何とも不思議な気がしました。  ■娘が書いた記述〈2〉  【えらぶっているみたいで、言いにくいな】  九月〇日 美術の時間  トモは「太陽はどこに書く?」と言った。  ヨシは「左上に大きく丸く書こう。そしてそこから光線がたくさん出るようにしたらいいよ」と言った。  私は<太陽そのものを書くより、太陽をイメージさせるような書き方がいいんじゃないかな>と思った。  マキは「ねェ、ねェ、光の精が飛んでいる所も書いていい?」と言った。  私は<なんだかメルヘンチックになりそう。どうして光の精を書きたいのかな。     少女趣味になるのは嫌だな。みんなにそう言おうかな。思っているだけじゃ、伝わらないもの。     私の意見も言わなくちゃ。でも、なんか、えらぶっているみたいで、言いにくいな。     みんな、《なにえらぶっているの?美術の制作ぐらいで、ばかみたい》とか思うんじゃないかな。     どうしよう。やっぱり言えない>と思った。  ヨシは「どうしたの?何かイヤなの?」と言った。  マキは「何ブスッとしているの?感じ悪いよ。言いたいことがあれば言ったら」と言った。  私は「ううん。なんでもない」と言った。  ☆★☆ 次の美術の時間が楽しみになって来た ☆★☆  その日、彩子を学校に見送った後、食堂に戻ると、この記述が、テーブルの上に置かれていました。  そして、この記述の最後に、こんな気づきが書かれていました。 「この間、お母さんと、いろいろ話して、私は、自分の意見を言ってみようという気になりました。  けれども、いざ、言おうとすると、何だか、一人だけまじめぶっているみたいで、なかなか言えませんでした。  それで、その時のことを、また、場面記述に書いてみました。  書き終えてから、この間みたいに、繰り返し、読み返してみました。  そして、気づいたことが、二つあります。  ひとつは、私は、友達から《なにえらぶっているの?美術の制作ぐらいで、ばかみたい》って、  思われるんじゃないか、と思っています。  けれども、これは、私の考え過ぎだと気づきました。  ヨシやトモやマキは、確かに、言いたいことをぽんぽん言うタイプの子だけど、  友達を、ばかにするような子達ではなかったのです。  私は、自分が臆病だから、自分の意見を言うのに、用心し過ぎているな、と思いました。  それから、二つ目に気づいたことは、えらぶってるって思われたくないなら、  えらぶってるって思われないように意見を言う言い方を考えれば良いんじゃないか、ということです。  いろいろ工夫ができると思います。  あんまり、みんなの描いたものを悪く言わず、  こんなふうにしてみると、もっと良いかもしれないって言ったり、  わざと自信なさそうに、こんなやり方もあるんじゃないかと思うんだけど・・・、  なんて言ったりしてみることもできるな、と思いました。  この記述を書き始める前は、  <私は、やっぱり自分の意見なんて、言えない>って、とっても落ち込んでいたけれど、  この記述を書いて、読み返しているうちに、  <次の時間に、こんなふうに話してみよう。それでだめなら、こんなふうに話してみよう>って、  いろいろな案が考えられるようになりました。  そして、何だか、次の美術の時間が楽しみになって来ました。  ■娘が書いた記述〈3〉  【思い切って、言ってよかった!】  十月〇日 放課後。絵の最後の仕上げを友達とした。  マキは「光の精の羽が今一パッとしないんだよね。白で書いたんだけど、バックが黄色でしょ。      ちょっと目立たないんだよね」と言った。  私は<紫とか、ちょっと変わった色をポイントにして入れれば、ずいぶん変わってくるんだけどな。     でも、そういう感覚ってわかってもらえないかな。    『え─?そんなの変だよ』って言われて、おしまいかもしれない。それって悲し過ぎる。     黙ってみんなの言いなりになっていようかな。     でも、場面記述書いて、私は、自分の意見を言いたいんだって気づいた。     やっぱり、自分の思っていることを伝えてみよう。     えらぶらずに、ちょっと試してみたらどうかなっていう感じで言ってみよう>と思った。  私は「あの・・・、光の精のまわりだけうすいふじ色を入れるといいんじゃないかな」と言った。  マキは「ふじ色ね。ちょっとすみの方でためしてみるか」と言った。  私は羽根の形にそって、うすくふじ色を入れた。  マキは「うーん、あ、でも、これ、結構いいじゃん」と言った。  ヨシは「本当だ。かっこよくなった、なった。さすが彩子先生!やりましたねェ!」と言った。  私は<うれしい。みんなにわかってもらえた。思いきって言ってよかったな>と思った。  ☆★☆ 私にも彩子にも余裕が出て来た。 ☆★☆  その日、娘は、学校から帰って来るなり、私のところに勢いこんでやってきました。 「お母さん。とうとう、やったの!私、自分の意見を言うことができたの」と娘は、ニコニコしながら言いました。  そして「その時のこと、場面記述に書いてみるね。それで、お母さんに」みせるからと言って、  自分の部屋にこもって書いたのが、この記述でした。  私が、記述を読み終えるの待って、  娘は「思いきって自分の考えを言って、わかってもらえた時、すっごくうれしかったよ。     ヤッターって感じだった」と言いました。  ヤッターって感じだった、と言った時の娘の顔は、本当に満足そうでした。  今までの、どことなくおどおどしたような雰囲気が消えて、力強さみたいなものさえ感じられました。  娘は、自分で自分の問題を解決したのです。  それが、娘に自信を与えたように思います。  今まで、娘に欠けていたのは、自分で問題を解決する、という経験だったのかもしれません。  これまで、私は困っていたり、不安になっている彩子を見ると、  ほっておけなくなって手を出してしまっていました。  また、困った状況になる前に、先回りして、彩子がつまずきそうなものを取り除いていました。  それが、彩子から、“自分にもできるんだ”という自信をつける機会を奪うことになっていたように思います。  セルフ・カウンセリングによって、私も彩子も、気持ちの余裕を持つことができました。  その余裕から、私は、彩子に手を出さずに見守ることができるようになりました。  そして、彩子は自分で自分の問題を考えることができるようになったのです。  これからも、娘とともに、セルフ・カウンセリングを続けていきたいと思っています。  そして、いつか、親子ゲンカの場面などを、それぞれが記述に書き、  それをお互いに見せあう、と言うようなこともやってみたいな、と考えています。                           つづく・・・  次回は    「 親子で学ぶセルフ・カウンセリング体験記 2 」    をお送りいたします。        どうぞ、お楽しみに!    皆様のご意見ご感想をお寄せいただけたら幸いです。  self_counseling2000@yahoo.co.jp  セルフ・カウンセリングには、  通学講座、通信講座など様々な講座があります。  詳しい内容はこちらから →http://www.self-c.net/sutady/index.html              →https://www.self-c.jp/study/self-counseling/  ご興味のある方は、下記の事務局までお問い合わせください。